宮古島の国の重要無形民俗文化財パーントゥ・プナハ
沖縄の宮古島では、全身泥まみれの来訪神パーントゥ・プナハが有名です。
国の重要無形民俗文化財でもあるパーントゥ・プナハは、ンマリガーという井戸の奥底にある泥で覆われたいでたちで、キャーンというつる草で体を巻いています。
そして、その仮面は島に流れ着いたとされていて、クバの葉でくるまれているのです。
そんな泥だらけの3体の神様が人々に泥を塗っていくという不思議な感じのお祭りになります。
パーントゥにつかまって泥だらけになる
パーントゥという神様は何とも奇妙な行動をします。
なんと、人々を追いかけて泥を塗るのです。
それも逃げまどう人々を追いかけるというのですから、何だか神様らしくない行動ではないでしょうか。
子供のいたずらのような鬼ごっこのようなやり方です。
パーントゥはびっくりして逃げられないような人にも。容赦なく泥をかけてきます。
それも顔に塗られてしまうのですから、たまったものではないでしょう。
人によっては、服やカバンも泥だらけということにもなります。
老若男女分け隔てをせずに泥を塗ってくるのがパーントゥの特徴です。
赤ちゃんにも老人にも躊躇することなく泥を塗ります。
泥を塗られるとご利益がある
人々はこのようにパーントゥに泥を塗られても文句ひとつ言いません。
それどころか喜んでいます。
なぜならば、ご利益があるからです。
パーントゥに泥を塗られると、一年間病気もせずに元気でいられるということです。
なるほど、そういうことであればどんなに泥を塗られても人々は怒らないでしょう。
それどころか嬉しい気持ちになり笑顔になるのです。
厄除けにもなるために、パーントゥは人のみではなく新しく建てられた家や買ったばかりの車にも泥を塗ります。
この場合も塗られることで持ち主は安心できるのです。
何とも不思議ですが、人々が泥を塗られながらも笑顔でいられるので、楽しいお祭りといえるでしょう。
パーントゥ・ブナハ開催の前の日は、魔物のスマッサリが来ないようにするために結界を張ります。
こうしたことからもわかるように、パーントゥ・ブナハは歴史のある神事なのです。
パーントゥの苦情
ご紹介したように地元の人にとっては大歓迎のパーントゥですが、苦情をよせられることもあります。
ご利益について良く知らない人たちによるものです。
服が泥だらけになった、抱き着かれて怖かったということを訴えられました。
中には暴行に至ったケースもあったのです。
こうしたトラブルをふせぐために自治会が立ち上がりました。
パーントゥ祭りが開催される時間を書いた張り紙を車につけて、泥を塗られたくない人は入らないようにと注意書きを書いたのです。
そして、仮面をつけた神様が厄払いのために人々に泥を塗るということも書き添えました。
神様に敬意を払う、きちんとしたお祭りであることを理解してもらいたいものです。