世界文化遺産・識名園の魅力
沖縄県那覇市にある識名園は、琉球王国時代の最大規模の別邸として知られる琉球庭園です。
1799年、琉球王国の第15代国王の時代に完成した庭園で、国王一家が使用する別邸として以外にも、外国から訪れた使いの接待をする場所としても使用されていました。
実際に完成した翌年の1800年には、中国から冊封使が訪れたという記録が残っています。
1941には国が名勝地として指定しましたが、第二次世界大戦の激しい戦禍によってそのほとんどが焼失してしまいました。
現在私達が見ることができる識名園の姿は、1975年から開始された、大規模な復元整備によって復元された姿となっています。
現在も特別名勝に指定されており、その他にも琉球王国のグスク及び関連遺産群の1つとして、ユネスコ世界文化遺産に登録されています。
識名園の楽しみ方
識名園をより一層楽しむ方法は、その庭園内に生息している多種多様な植物や生物に注目することです。
本当にたくさんの種類が庭園内にあるので、それらを観察しながら、いくつ発見できたか挑戦するのも楽しいでしょう。
中には国の天然記念物である、「シマチスジノリ」という淡水藻が生息している場所もあるので、探してみましょう。
夏季にはその生息が少なくなってしまうので、シマチスジノリを見たいという方はそれ以外の季節を選ぶと良いでしょう。
識名園の見どころは文化の融合
識名園の最大の魅力は日本、中国、琉球王国という3つの国の文化が上手に融合された庭園です。
そんな識名園の最大の見所は、それらがベストマッチしている観光スポット「廻遊式庭園」です。
廻遊式庭園とは、日本の大名が好んで多用したとされる、池を中心とし、その池の周囲を1周しながら庭の景観を楽しむように作られた庭園のことです。
識名園ではその池に中国風のお堂が浮かんでおり、そこに架けられている橋も中国風となっています。
さらに池を取り囲むようにして置かれているのは、琉球石灰岩です。
以上のことから、識名園の回遊式庭園は、日本の従属国として存在しながら、中国の影響も大きく受けた琉球王国ならではの造形と言えるでしょう。
識名園には回遊式庭園以外にも、特徴的な建物がたくさんあります。
そんな建物の中でも最も大きく存在感があるのが「御殿(うどぅん)」です。
御殿は母屋のような建物で、赤い瓦屋根の木造建築でできており、琉球文化を色濃く感じさせる外観となっています。
御殿の中には15の部屋があり、それらの部屋の窓からはそれぞれ素晴らしい眺めを楽しむことができます。
もう1つ、見逃せないスポットが「六角堂」です。
大きな池に浮かぶ六角堂は六角形の形をした東屋で、幾重にも重なる黒い瓦屋根は中国建築様式の特徴です。
素朴でありながらも重厚感がある佇まいは、見るものの目を引きつけます。